見積書に報告書、会議資料。
「資料づくり」に追われて1日が終わる——そんな悩みはどの職場にも共通です。
2026年7月31日、広島銀行を傘下に持つひろぎんホールディングスとブレインパッドが、
ある実証実験を共同で発表しました。
資料作成の一連の工程をAIエージェントに任せ、
実用化すれば年間7万5,000時間の削減を想定するという内容です。
1人あたり年2,000時間働くと仮定すれば、約37人分の仕事量に相当します。
本記事では、この発表の中身と、中小企業・自治体が自社に置き換えて実践できるポイントを解説します。
発表の概要——広島の銀行グループが挑む「資料作成の自動化」
ひろぎんホールディングスは、広島銀行などを傘下に持つ地方銀行グループです。
パートナーのブレインパッドは、データ活用やAI導入の支援を手がける企業です。
銀行は融資や経営管理のために、日々多くの報告資料を作っています。
数字を集計し、グラフを作り、スライドに整える——
この繰り返しに、多くの時間が費やされてきました。
両社が取り組むのは、社内の「各種報告資料」の作成を自動化するAIエージェント構築のPoC(概念実証)です。
実用化した場合の効果として、資料作成業務で年間7万5,000時間の削減を想定しています。
浮いた時間は、企画立案やお客さまへの提案といった、
より付加価値の高い業務に振り向ける計画です。
AIエージェントは資料づくりをどう肩代わりするのか

今回の実証で検証されるのは、次のような一連の工程です。
- Excelや社内のデータ基盤から、必要な情報を取得・整理する
- 文章や図表、スライドの構成を自動で生成する
- PowerPointなどのフォーマットに出力する
Excelから数字を拾い、グラフを作り、スライドに貼って体裁を整える。
これまで人が手作業でつないできた流れを、AIが一気通貫で担う想定です。
ポイントは、単発の文章生成ではなく「情報収集から出力まで」を通しで任せる点です。
さらに両社は、人がチェックするレビュープロセスを含めた、
業務フロー全体の設計にも取り組むとしています。
AIに丸投げするのではなく、人の確認を前提に組み込む姿勢は実務的です。
AIエージェントに渡す権限の決め方や承認フローの作り方は、
こちらの記事で詳しく解説しています。
「チャットに聞く」から「業務を任せる」へ

注目したいのは、同グループがいきなりAIエージェントに飛びついたわけではない点です。
ひろぎんグループは2024年4月に、グループ全体で生成AIを使える環境を整備しました。
その後は融資稟議書の作成やお客さま向け面談の準備など、
実際の業務プロセスへの組み込みを進めてきました。
今回のPoCは、その積み重ねの上に立つ「次の段階」という位置づけです。
チャット画面でAIに質問する使い方は、便利ではあっても“道具”の域を出ません。
一方、工程をまるごと任せられれば、削減できる時間は桁違いに大きくなります。
日本企業はAIを「使ってはいる」のに成果につながっていない——
そんな調査結果を以前の記事で紹介しました。
成果に届くかどうかの分かれ目は、この「道具から仕事の担い手へ」の一歩にあります。
“いきなり全社導入”ではなく、業務を絞ったPoCから始める手順も参考になります。
中小企業・自治体が学べる3つのポイント

銀行グループの事例ではありますが、学べる「型」は組織の規模を問いません。
① 資料作成は自動化候補の筆頭
型が決まっていて、元データが社内にあり、繰り返し発生する。
資料作成には、自動化に向く業務の条件がそろっています。
月次報告や上司・議会向けの説明資料など、思い当たる業務は多いはずです。
② 工程を分解して一部から任せる
「資料作成」とひとくくりにせず、情報収集・下書き・清書に分けてみましょう。
まずは情報収集と下書きだけをAIに任せるのでも、効果は十分に出ます。
たとえば月次の売上報告なら、集計と下書きはAIに任せ、
考察のコメントだけを人が書く、という分担が考えられます。
ひろぎんの実証も、工程を分解したうえで通しの自動化を検証する組み立てです。
③ 人のレビューを最初から組み込む
今回の実証では、レビュープロセスを含めて業務フローを設計します。
「AIが作り、人が確認して仕上げる」という分担を最初に決めておくことが、
事故と手戻りを防ぐいちばんの近道です。
特にお金や社外向けの文書に関わる資料は、人の承認を必須にしておくと安心です。
まとめ
ひろぎんホールディングスとブレインパッドは、
資料作成業務を自動化するAIエージェントのPoCを開始しました。
想定される削減効果は年間7万5,000時間、約37人分の仕事量です。
鍵は、生成AIの環境整備→業務への組み込み→エージェント化と、段階を踏んでいることです。
資料作成はどの組織にもある業務だけに、自社に置き換えて考える価値は大きいでしょう。
まずは「どの資料の、どの工程から任せるか」の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。
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「どの業務からAIに任せるか」
の棚卸しから、一緒に考えます。
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