「AIを導入しても、うちの会社でうまく使える気がしない」。
そんな不安から、導入の一歩を踏み出せずにいる経営者の方は多いのではないでしょうか。
2026年8月7日、AIポータルメディア「AIsmiley」を運営するアイスマイリーとMMD研究所が、
企業のAI導入・活用に関する共同調査の結果を発表しました。
導入・活用に関わった400人のうち68.0%が「上手くいっている」と回答した一方で、
上手くいかなかった理由の上位には、意外なことにAIの性能や精度が見当たりません。
本記事では、この調査から見えてきたAI導入の成否を分ける要因と、
中小企業がそのまま実践できる準備のステップを解説します。
導入企業の68%が「上手くいっている」と回答
まず調査の概要です。
調査は2026年7月10日から14日にかけて実施されました。
予備調査では20〜69歳の会社員1万5,161人に、勤務先のAI導入状況を尋ねています。
「組織としてAIを導入できている」と答えた人は26.8%にとどまり、
「わからない」が31.0%、「導入も利用の許可もされていない」が20.6%でした。
組織的なAI活用は、まだ4社に1社程度という段階です。
一方の本調査では、勤務先でAIが組織的に導入され、
その導入・活用に自身が関わった400人に、社内のAI活用の手応えを尋ねています。
結果は「上手くいっている」14.0%、「どちらかといえば上手くいっている」54.0%で、
合わせて68.0%が前向きな評価でした。
「上手くいっていない」は24.8%です。

導入した企業の約7割が手応えを実感している——。
この数字は、導入をためらっている企業にとって心強い材料と言えるでしょう。
上手くいかない理由に「AIの性能」が見当たらない
この調査でもっとも注目すべきは、「上手くいっていない」と答えた99人が挙げた理由です。
上位は「AIに任せる業務範囲が明確ではなかった」19.2%、「解決すべき課題が不明確だった」16.2%、
「導入後の効果測定・改善ができていなかった」15.2%でした。
AIの精度が低かった、費用が高すぎたといった「AI側の問題」は、上位に並んでいません。
つまり、失敗の主な原因はAIそのものではなく、導入前の設計と導入後の運用にあります。
どの業務を、何のために任せるのかを決めないまま導入すると、
どれだけ高性能なAIでも成果につながらないのです。
逆に言えば、この3つの落とし穴は導入前の準備でほぼ避けられます。
最初に任せる業務の選び方は、過去記事「使いどころが分からない」42%の壁——中小企業がAIに最初に任せる業務の選び方でも詳しく解説しています。
成功した企業は、導入前に「宿題」を済ませていた
では、上手くいっている企業は何が違ったのでしょうか。
「上手くいっている」と答えた272人に導入前の準備を尋ねると、「業務課題の整理」35.3%、
「データ・社内情報の整理」34.9%、「導入目的の明確化」32.4%が上位に並びました。
いずれもAIツールに触れる前の、いわば「宿題」にあたる取り組みです。
失敗企業が挙げた理由と、きれいに裏表の関係になっていることが分かります。

さらに、導入後に浸透・定着させるための工夫としては、「利用ルール・ガイドラインの整備」41.5%、
「社内研修・勉強会」37.9%、「セキュリティ・法務・コンプライアンス面のルール見直し」34.9%が上位でした。
ツールを配って終わりにせず、ルールと教育をセットで進めている点が成功企業の特徴です。
中小企業が実践できる3つのステップ
この調査結果は、これから導入する中小企業にとって、そのまま「成功の手順書」として読むことができます。
おすすめは次の3ステップです。
ステップ1は、任せる業務を決めることです。
日々の業務を書き出し、時間がかかっている定型作業や、
問い合わせ対応のように件数の多い業務から候補を選びます。
「AIで何かしたい」ではなく「この業務のこの部分を任せる」まで絞り込むことが、
失敗理由の1位と2位を同時に防ぐことにつながります。
ステップ2は、小さく試して数字で測ることです。
最初から全社導入を目指す必要はありません。
1つの部署・1つの業務で試し、作業時間や処理件数がどう変わったかを記録します。
効果の測り方は、過去記事「AIで楽になった気がします」からの卒業——導入効果を数字で示す測定3ステップが参考になります。
ステップ3は、ルールと研修で定着させることです。
入力してよい情報の範囲、人が最終確認する場面、困ったときの相談先を簡単なガイドラインにまとめ、
短時間でも社内勉強会を開いて全員が触れる機会をつくります。
成功企業の4割が実践している、費用のかからない定着策です。

まとめ
アイスマイリーとMMD研究所の調査からは、組織としてAIを導入できている企業はまだ26.8%である一方、
導入した企業の68.0%は「上手くいっている」と感じている実態が見えてきました。
そして成否を分けていたのは、AIの性能ではなく、
業務課題の整理・データの整理・目的の明確化という導入前の準備と、ルールや研修といった導入後の定着策でした。
裏を返せば、高価なツールを選ばなくても、準備次第で中小企業にも十分に勝ち筋があるということです。
まずは自社の業務の棚卸しから、AI導入の「宿題」を始めてみてはいかがでしょうか。
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「どの業務からAIに任せるか」
の棚卸しから、一緒に考えます。
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