AIに買い物を任せる時代の、利用と信頼のギャップを示すイメージ

あなたの店の“次のお客”はAIエージェント——利用72%・支払い23%の米国調査

「調べ物はまずAIに聞く」という使い方が、米国では当たり前になりつつあります。
一方で、支払いまでAIに任せてよいと考える人は、まだ4人に1人もいません。
米Visaが現地時間2026年9月9日に発表した調査が、この利用と信頼のギャップを数字で示しました。

AIが人の代わりに商品を探して比較し、購入まで進める買い物は「エージェンティックコマース」と呼ばれます。
本記事では、調査の中身と、AIが“お客”として店に来る時代に向けて中小企業が始めておきたい準備を解説します。

72%がAIを使い、支払いを任せるのは23%

調査の名前は「Visa Trust Index」です。
調査会社ハリス・ポールが2026年5月26日から28日にかけて、
米国の消費者2,065人を対象に実施しました。
それによると、AIアシスタントを使ったことがある人は72%にのぼります。
ところが、生成AIに支払いの処理まで任せてよいと答えた人は、23%にとどまりました。
調べ物では頼っても、財布のひもはまだ渡していない——これが米国の消費者の現在地です。

この50ポイント近い開きは、AIの利用が「調べて提案してもらう」段階で止まっていることを示します。
裏を返せば、買い物の入り口である下調べには、AIがすでに深く入り込んでいるということです。

下調べはAIに任せ、支払いは自分で決めるという分担の対比図

信頼は「AIの賢さ」ではなく、仕組みに向かう

同じ調査で、支払いを任せる相手を「Visa」と明示して尋ねると、信頼すると答えた人は61%に上がりました。
生成AI一般への23%と比べると、3倍近い開きです。
18〜34歳では68%、AIを頻繁に使う人では71%と、若い世代や利用経験の多い人ほど高くなります。

ここから読み取れるのは、消費者が信頼しているのはAIの賢さではない、という点です。
「何かあったときに守ってくれる仕組みがあるか」で、任せる相手を選んでいます。
また、使うほど信頼が育つ傾向は、小さな成功体験の積み重ねが鍵だという示唆でもあります。

「AIの財布」と市場予測は、先に出そろっていた

実は、AIに支払わせる仕組みづくりは、消費者の気持ちより先に進んでいます。
広告分野の調査会社WARCなどは、AIエージェント経由の消費が2026年の9,440億ドルから、
2030年には3.35兆ドルに育つと予測しています。
この予測は、AIの決済基盤「x402」を紹介した記事でも取り上げました。
また、Cloudflareの「AIの財布」のように、
AIに持たせるお金を上限つきで管理する仕組みも登場しています。

つまり、お金を安全に持たせる仕組みと市場の予測は、すでに出そろっています。
残っていた「消費者はどう思っているか」の実測が、今回の調査で加わった形です。
23%という数字は小さく見えますが、逆に言えば伸びしろが8割近く残っているということです。

AIの財布のしくみと市場が育つ予測はそろい、消費者の信頼がこれからであることを示す図

中小企業が今できる3つの準備

AIが“お客”として来る流れは、大手ECだけの話ではありません。
自社サイトで商品やサービスを売っている会社なら、今日から始められる準備が3つあります。

① 商品情報を「AIが読める文字」にする

AIは、ページに書かれた文字を手がかりに商品を探します。
価格・在庫・サイズ・送料・納期が画像の中にしか無いと、AIはその商品を候補に挙げられません。
まずは主力商品10点だけでも、基本情報を文字として書き出すことから始めてみてください。

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② 最後は「人が確認に来る」前提で導線を磨く

支払いを任せる人が23%ということは、多くの人が最後の確認には自分で戻ってくるということです。
AIの提案から店に来た人が迷わないよう、価格・返品条件・問い合わせ先を注文画面の近くに置きましょう。
ここで迷わせると、AIが連れてきたお客様を最後の一歩で逃してしまいます。

③ 「守られている」の根拠をページに載せる

調査が示したとおり、消費者は「守ってくれる仕組みがあるか」で任せる相手を選びます。
返品・キャンセルの条件や特定商取引法の表記を、探さなくても見える場所に置いてください。
大きなブランドを持たない中小企業こそ、この「仕組みの見える化」が信頼の代わりになります。

商品情報を文字にする、注文画面で迷わせない、守られる根拠を見せる の3つの準備

注意して読む点

この調査を読むときは、次の3点を割り引いておく必要があります。

  • 調査の実施主体はVisaで、自社ブランドへの信頼を尋ねる設問を含む当事者発表です。
  • 対象は米国の消費者2,065人で、日本の消費者の数字ではありません。
  • 調査の実施は2026年5月末で、発表までに約3か月の時点差があります。

まとめ

AIを使う人は72%、支払いまで任せる人は23%——米Visaの調査を紹介しました。
数字の上ではまだ入り口ですが、買い物の下調べの主役は着実にAIへ移りつつあります。

明日からできる第一歩は、AI向けの特別なシステム投資ではありません。
自社サイトの主力商品の情報が「文字で」書かれているかを、確かめることです。
AIという新しいお客様は、読める店から順に選んでいくためです。

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