銀行員の時間の4割は資料集め 70の作業に分解したDBSのAIエージェント

銀行員の時間の4割は“資料集め”だった——稟議書を70の作業に分解したDBSのAIエージェント

銀行の法人営業と聞くと、お客様と会って提案する姿を思い浮かべる方が多いはずです。
ところがシンガポール最大手の銀行DBSによれば、
担当者の時間の約4割は稟議書のための資料集めと分析に費やされていたといいます。
同社は2026年8月19日、この仕事にAIエージェントを本格導入すると発表しました。
対象は世界の行員約1,500人です。
注目したいのは、稟議書づくりという1つの仕事を「70以上の作業」に分解してから任せた点です。
本記事では発表の中身を読み解き、中小企業が持ち帰れるポイントを解説します。

150人の試行から、世界の1,500人へ

DBSはシンガポールに本拠を置く東南アジア最大級の銀行で、アジアの19の市場で事業を展開しています。
今回AIエージェントを配ったのは、法人のお客様を担当する営業担当者と、
融資の可否を検討する与信担当者です。
まず150人で試験導入を行い、効果を確かめたうえで約1,500人への展開に踏み切りました。
いきなり全員に配らず、1割の人数で試してから広げる手順を踏んでいます。

担当者の時間の内訳 資料集めと分析が約4割

AIエージェントが担うのは、融資の判断材料をまとめた社内文書「稟議書」の準備です。
年次報告書や業界調査、行内の記録からデータを集め、
審査に回せる水準の「最初の下書き」を作ります。
担当者は下書きを読んで追加の調べ物を指示したり、対話しながら内容を磨いたりします。
目標は、資料集めと分析にかかる時間を最低30%減らすことです。

1つの仕事を「70の作業」に分解した

今回の発表で目を引くのは、「稟議書を書いて」とAIに丸ごと任せなかったことです。
DBSは稟議書づくりを70以上の細かい作業に分け、
それぞれを専門のエージェントに割り振りました。
財務データを集める、業界動向を調べる、過去の取引を確認する、といった具合です。
作業の単位まで分解すると、AIが得意な部分と人が確かめるべき部分の線引きがはっきりします。
間違いが起きたときに、どの作業でつまずいたかを特定しやすくなる利点もあります。

1通の稟議書を70の小さな作業に分解する図

法人部門トップのハン・クイジュアン氏は発表の中で、
優秀な担当者の知見を捉えて組織全体に広げられることが利点だと述べています。
ベテランがどんな資料をどの順番で集めるかという暗黙のノウハウを、
作業の形に書き出してAIに写す取り組みだと言えます。
エースのやり方を、仕組みとして全員に配る発想です。

判断は、最後まで人に残した

もう1つの特徴は、人の役割をはっきり残したことです。
AIが作るのはあくまで下書きで、融資をするかどうかの判断と責任は担当者が持ちます。
担当者はお客様の事情や地域の商習慣など、数字に表れない文脈を加えて仕上げます。
エージェントはあらかじめ設計された作業の流れの中で動き、勝手に判断を下すことはありません。

なおDBSは前月に、顧客向けのAIアシスタントにもエージェント機能を追加しています。
こちらはシンガポール・香港・台湾の1,000万人超の利用者が対象です。
行内の事務と顧客との接点の両方で、段階的に適用範囲を広げている形です。

注意して読む点

今回の情報源は銀行自身の発表であり、割り引いて読むべき点もあります。
まず「30%削減」は目標であって、達成済みの実績ではありません。
削減できた時間の金額換算や、稟議の品質がどう変わったかのデータも公表されていません。
またDBSは10年以上デジタル投資を続けてきた銀行で、
行内のデータが整理されていたからこそ70の作業への分解が可能だった面があります。
同じ規模のことを明日からそのまま真似できる会社は、多くないでしょう。

中小企業が持ち帰れる3つのポイント

それでも、この事例の考え方は会社の規模を問わず使えます。
第一に、時間の内訳を測ることです。
DBSの出発点は「時間の4割が資料集め」という測定でした。
見積書や報告書づくりに何時間かかっているか、まず1週間記録してみてください。
候補の洗い出し方は5日分の記録からAIに任せる仕事を見つける方法で解説しています。

業務自動化・AI活用のご相談は無料です

「自社でもできる?」「費用はどのくらい?」など、お気軽にご相談ください。中小企業・自治体の支援実績が多数あります。

無料相談してみる →

第二に、仕事を丸ごとではなく、作業の単位に分けてから任せることです。
「見積書を作って」ではなく、
「過去の類似案件を探す」「単価表と突き合わせる」のような粒度に分けます。
1つひとつの作業は単純になるため、AIの成功率も検証のしやすさも上がります。

時間の内訳を測る・作業の単位に分ける・下書きはAIで判断は人 の3ステップ

第三に、最初の下書きをAIに、最終の判断を人に置くことです。
お金が動く書類や社外に出る文書は、人の確認を最後に必ず挟みます。
確認のしかたを設計する手順は、確認を“例外だけ”に絞る4つの手順が参考になります。

まとめ

DBSの発表が教えてくれるのは、AIエージェントの導入とは賢いAIを買うことではなく、
仕事を作業に分解して設計し直すことだという事実です。
時間の内訳を測り、作業の単位に分け、下書きと判断の役割を分ける。
この手順は、行員1,500人の銀行でも社員5人の会社でも変わりません。
まずは自社でいちばん時間を取られている書類仕事を1つ選び、
それを小さな作業に書き出すところから始めてみてはいかがでしょうか。

FREE CONSULTATION

「どの業務からAIに任せるか」
の棚卸しから、一緒に考えます。

デジタルレイバーでは、中小企業・自治体向けにRPA・AIエージェント導入支援を行っております。無料オンライン相談では、貴社の業務をヒアリングし、自動化の可能性と導入費用を試算します。無理な営業は一切ありませんので、お気軽にご相談ください。

無料相談を申し込む → 料金表を見る

1営業日以内にご返信します/ご相談は無料です

デジタルレイバー LINE公式アカウント QRコード

LINEでも相談OK
スマホで読み取り

この記事のような業務自動化・AI活用、自社でもできます

ご相談・お見積りは無料です。中小企業・自治体の支援実績が多数あります。

無料相談してみる →料金表を見る

関連記事

無料相談料金表