生成AIを社内で使い始めたとき、最初の用途はたいてい決まっています。
議事録です。
録音を放り込めば文字になる手軽さがあり、誰も反対しません。
ところが、そこで止まってしまう職場が少なくありません。
本記事では、国の資料に出ている数字をもとに、議事録を文字起こしで終わらせないための3つの設計を解説します。
最初の用途は、やはり議事録まわり
まず、実際に何に使われているかを確認します。
総務省が公表した「自治体における生成AI導入状況」(令和7年6月30日版、
令和6年12月31日時点)には、用途の件数が並んでいます。
最も多いのは挨拶文などの作成で875件。
次いで議事録の要約が755件、企画立案が638件、メールの作成が635件でした。
民間でも傾向は同じです。
商工中金の中小企業向け調査では、生成AIの用途の1位がメール・報告書・議事録の作成で74.0%を占めています。

つまり議事録は、業種も規模も問わず選ばれる入口だということです。
会議は毎週あり、作る人の負担は大きく、成果物の形も決まっている。
自動化の題材としては、これ以上ないほど条件がそろっています。
問題は、その先に進めているかどうかです。
削減できるのは半分、残りは人の作業
同じ資料には、効果の事例も載っています。
人口およそ4万7千人の自治体の例では、音声からの文字起こしと要約にかかる時間を、
年間2,800時間から1,400時間へ50%削減できる見込みとされています。
大きな数字ですが、注目したいのは残りの1,400時間です。
文字起こしが自動になっても、作業は半分しか消えません。
残るのは、聞き違いの修正、発言者の割り当て、決定事項の整理、そして体裁を整える手間です。

ここを人の根性で埋めている限り、議事録は楽になりきりません。
逆にいえば、後半の1,400時間こそが設計の余地です。
音声を文字にする部分は、もうツールが十分にやってくれます。
差がつくのは、その前後をどう決めておくかのほうです。
同じ資料の別の事例と比べると、この50%という数字の位置づけが見えてきます。
ポスターやチラシの作成時間が97%減った例もあります。
人口およそ10万4千人の自治体で、年間およそ4万8千時間の削減とされています。
人口およそ9万4千人の自治体では、簡易なシステム開発で775時間の削減が報告されました。
作って終わりの成果物ほど、削減率は高く出ます。
議事録が半分にとどまるのは、書いたあとに人が読んで使う文書だからです。
文字起こしで止めないための3つの設計
難しい仕組みは要りません。
会議の前後にひと手間を決めておくだけで、後半の作業は目に見えて減ります。

①録音の前に、決めたいことを1行書く
会議の冒頭に、今日決めたいことを1行だけ書いて共有します。
この1行があると、AIに要約させるときの指示が具体的になります。
何でも要約してと頼めば当たり障りのない文章が返りますが、
この件についての結論と宿題を出してと頼めば、使える形で返ってきます。
手間は30秒、効果はその後の整理時間すべてに及びます。
②要約の型を決めて、毎回同じ形で出す
決定事項、持ち帰りの宿題と担当者、次回の日程。
この3つだけを毎回同じ順番で出すよう、指示文を決めて共有します。
形がそろえば、読む側は探す時間が減り、書く側は整える時間が減ります。
指示文は一度作れば使い回せるので、誰が担当しても同じ品質になります。
③置き場所を決めて、そこに直接残す
できあがった要約を、どこに置くかを先に決めます。
案件ごとのフォルダか、共有の台帳か。
置き場所が決まっていないと、せっかくの要約が個人の手元にとどまり、結局その人がメールで配ることになります。
出力の受け皿を先に決める考え方は、過去記事「起動ボタンを押しているのは、まだ人」でも触れました。
あわせて、録音そのものの扱いも決めておきます。
人事や取引条件を話す会議の音声は、社外のサービスに入れてよい情報とは限りません。
録音してよい会議と、その場の記録だけにとどめる会議を分けておくと、あとで困りません。
この線引きは、社内の利用ルールに1行足すだけで済みます。
導入率の差は、そのまま経験の差になる
同じ資料では、生成AIを導入済みの割合も示されています。
都道府県は87.2%、政令指定都市は90.0%、それ以外の市区町村は29.9%でした。
実証実験や導入予定を含めると、都道府県と指定都市は100%に達します。
ここで効いてくるのは、機能の差ではなく試した回数の差です。
早く始めた組織ほど、うまくいかない使い方も含めて知見がたまっていきます。
まとめ
議事録は、生成AIの用途として最も選ばれています。
ただし削減できるのは半分程度で、残りは人の作業として残ります。
その残りを減らす鍵は、録音の前の1行、要約の型、置き場所という3つの取り決めです。
いずれも道具を買い替える話ではなく、決めるだけで済むことばかりです。
効果を数字で残す方法は、過去記事「導入効果を数字で示す測定3ステップ」にまとめてあります。
次の会議から、まずは1行を書くところだけ試してみてはいかがでしょうか。
FREE CONSULTATION
「どの業務からAIに任せるか」
の棚卸しから、一緒に考えます。
デジタルレイバーでは、中小企業・自治体向けにRPA・AIエージェント導入支援を行っております。無料オンライン相談では、貴社の業務をヒアリングし、自動化の可能性と導入費用を試算します。無理な営業は一切ありませんので、お気軽にご相談ください。
LINEでも相談OK
スマホで読み取り




