経理のみなさん、月末月初になると「請求書処理と入金消込」でデスクに張り付き…という光景、思い当たりませんか?
紙やPDFで届く請求書を目視で確認して手入力し、さらに銀行明細と一つずつ突き合わせていく。気がつけば残業時間が増え、「またこの時期が来たか…」とため息が出る。そんな声をよく耳にします。
そこで今注目されているのが、AI-OCR(データ抽出)とRPA(自動処理)を組み合わせた自動化ソリューションです。
今回は、この仕組みを導入して“月末の地獄”から抜け出した中小サービス業B社の実例をご紹介します。
1. はじめに:月末に集中する「消込地獄」からの脱却
経理部門にとって、月末月初に集中する請求書処理と入金消込は、最も時間と神経を使う業務です。特に、いまだに紙やPDFで届く非定型な請求書を目視で確認し、会計システムに手入力し、その後、銀行の入金明細と一つ一つ突合する作業は、多くの企業で残業の主な原因となっています。
この「消込地獄」を解消するため、**AI-OCR(データ抽出)とRPA(システム連携・突合)**を組み合わせたソリューションが注目されています。本記事では、この複合的な自動化により、経理業務の工数削減と品質向上を実現した中小サービス業B社の事例をご紹介します。
2. 導入前の課題:月間工数60%削減が求められた理由
中小サービス業B社(経理部門)が抱えていた課題は、以下の通りでした。
2-1. 非定型な請求書フォーマットへの対応
取引先ごとに請求書のレイアウトが異なり、AI-OCRの導入を一度検討したものの、「読み取り精度が不安定」という理由で断念していました。担当者は届いた請求書を、毎日約2時間かけて手動でデータ入力していました。
2-2. 属人化していた入金消込処理
手入力された請求データと銀行の入金明細との消込作業は、ベテラン社員の経験と勘に頼る部分が多く、作業がその社員に集中し、ブラックボックス化していました。
2-3. 月末の残業増
請求書の処理量が多い月末は、通常業務に加え消込作業が重なり、経理担当者の残業が常態化しており、人為的な入力ミスも発生しやすくなっていました。
3. ソリューション:AI-OCRとRPAによる「エンド・ツー・エンド」の自動化
私たちは、B社の課題に対し、単なるOCR導入ではなく、請求書の受領から消込完了までを一貫して自動化するソリューションを提案しました。

| ツール | 役割 |
| AI-OCR | 届いた紙・PDF請求書から、「請求日」「請求金額」「振込先」など、必要な情報を高精度で自動抽出し、構造化データ(CSV)に出力します。 |
| RPAロボット | AI-OCRが出力したCSVデータを読み込み、**会計システムへの転記入力、銀行Webサイトへのログイン、入金明細のダウンロードと自動突合(消込)**までを一貫して実行します。 |
4. 導入後の成果:経理担当者の月間工数60%削減
ソリューション導入後、B社の経理業務は劇的に改善しました。
- 工数削減: 請求書の手入力・消込にかかっていた月間工数を約60%削減。担当者は単純な入力作業から完全に解放されました。
- 処理スピード: 届いた請求書データが即座にシステムに反映され、消込処理が翌日中に完了するようになり、業務リードタイムが大幅に短縮されました。
- 品質向上: RPAとAIによる機械的な処理により、手作業による人為的な入力ミスがゼロになり、データ品質が向上しました。
担当者は、空いた時間を支払い遅延の顧客への連絡や、経営分析に必要なデータ作成といった、付加価値の高いコア業務に充てられるようになりました。
5. まとめ:経理こそAI-RPA導入のフロンティア
経理部門は、その業務の定型性とミスの許されない性質から、RPAとAIの組み合わせが最も高い効果を発揮する領域です。B社の事例が示すように、AIが非定型な情報をデジタルデータに変換し、RPAがそのデータをシステム間で連携させることで、これまで自動化が困難とされてきた業務の「完全自動化」が現実となります。
月末の残業に悩む企業様、経理業務の属人化を解消したい企業様は、ぜひデジタルレイバー株式会社にご相談ください。貴社の請求書フォーマットに合わせた最適なAI-RPAソリューションを設計いたします。
