近年、多くの自治体で「職員の数は減っているのに、業務はどんどん複雑化している」という声を耳にします。
結果として、限られた人員で膨大な事務処理をこなす必要があり、月末や年度末には時間外労働が当たり前になっている——そんな状況に悩む職員の方も多いのではないでしょうか。
一方で、住民からは「もっと早く」「もっと便利に」といったサービス向上の期待が高まっています。
この“負担増とサービス向上の両立”という難題を解決する鍵こそ、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。
中でも、RPA(Robotic Process Automation)は、自治体ならではの「法令遵守」「紙中心の業務」「システム間連携の煩雑さ」といった課題に最も効果を発揮するツールとして注目されています。
本記事では、自治体業務におけるRPAの活用領域や導入成功事例をもとに、“現場を変えるリアルなDX”の姿をご紹介します。
1. はじめに:職員の負担増と住民サービスの向上、DXの両立が急務
少子高齢化が進む現代において、多くの自治体は職員数の削減と行政ニーズの複雑化という二重の課題に直面しています。結果として、職員一人あたりの業務負担が増加し、時間外労働が常態化しています。一方で、住民からは迅速で質の高いサービスが求められており、この課題を解決するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)が不可欠です。
RPA(Robotic Process Automation)は、特に自治体特有の「複雑な法令順守」「手作業によるシステム間連携」「大量の紙帳票処理」といった課題に対し、最も即効性の高いソリューションとして注目されています。本記事では、自治体DX推進にRPAが不可欠な理由と、具体的な成功事例を解説します。
2. 自治体特有のRPA活用領域:職員を定型業務から解放する
自治体の業務は、法令やガイドラインに厳密に従う必要があるため、RPAが最も得意とする「ルールベースの定型作業」が非常に多いのが特徴です。

2-1. 住民データの突合・更新業務
住民サービスに関わるデータは複数のシステムに分散していることが多く、部署を横断したデータ突合や更新作業が頻繁に発生します。RPAは、異なるシステムにログインし、データを照合・転記する作業を正確に代行します。
- 具体例: 転入・転居に伴う各課システムへの情報反映、予防接種履歴の管理システムへの入力など。
2-2. 国・県への定型報告書作成
国や県への報告業務は、様式や提出期限が厳格に定められています。RPAがデータ収集から集計、指定フォーマットへの入力、さらにはポータルサイトへのアップロードまでを一連で自動化することで、職員の作業時間を大幅に削減します。
2-3. 補助金・給付金申請に関わる業務
特定の補助金や給付金の公募期間中は、短期間に大量の申請書類を処理する必要があります。RPAは、申請書のOCRデータ化、基幹システムとの申請資格突合、処理結果の通知といった一連の処理を高速で完了させ、市民へのサービス提供スピードを飛躍的に向上させます。
3. 導入成功事例:処理時間50%削減を実現した行政
ある中核市(架空の成功事例)では、毎年の固定資産税関連のデータ処理に、年間で延べ1,000時間以上の作業時間を費やしていました。
課題: 古い固定資産税システムから新しいシステムへ、毎年データを抽出し、所定のフォーマットに加工して登録し直す作業。手作業が多く、ミスのチェックに時間を要していました。
導入ソリューション:
- RPAの導入: 旧システムへのログインから、必要なデータ項目の抽出、中間ファイルへの加工までをRPAが担当。
- 新システム連携: 加工後のデータをRPAが新システムにログインし、一つ一つ正確に転記・登録。
成果:
データ処理にかかる作業時間を約55%削減。毎年発生していた作業のミスがほぼゼロになり、作業時間の削減だけでなく、データ品質の向上による二次的な業務負荷も大幅に軽減されました。
4. 導入の課題とデジタルレイバーの解決策
自治体RPA導入の最大の課題は、「レガシーシステム(既存の古いシステム)」との連携です。これらのシステムはAPI連携が困難なことが多く、通常の開発では対応が難しい場合があります。
デジタルレイバー株式会社は、長年の経験から、画面認識技術や画像処理を駆使したRPA開発を得意としており、APIがないレガシーシステムに対しても、確実かつ安全な自動化ソリューションを提供します。また、法令順守を前提としたガバナンス(統制)体制の構築も同時に支援し、情報セキュリティを確保します。
5. まとめ:住民サービス向上と職員の働き方改革の両立へ
RPAは、自治体が抱える「人手不足」と「サービス向上」のジレンマを解決し、職員をより専門的で創造的な業務にシフトさせます。これは、住民満足度の向上と、持続可能な行政運営の両立を実現する最も現実的な方法です。
貴自治体で最も負担となっている業務や、システム老朽化による課題がございましたら、ぜひ当社の専門チームにご相談ください。法令順守を前提とした、最適なDXソリューションをご提案いたします。
