RPAを導入しようとしたときに、意外と最初の壁になるのが「どのタイプのRPAを選ぶべき?」という悩みです。
実はRPAには大きく分けて2つ、
✔️ サーバーで集中管理するWeb RPA
✔️ PCで動かすデスクトップRPA
があります。
どちらも業務自動化を叶えるツールですが、
得意分野も導入効果もまったく違います。
選び方を間違えると、
「導入したのに使われない」「結局手作業のまま」
といった残念な結果に…。
この記事では、それぞれの特徴や向き不向きをわかりやすく整理し、
自社にぴったりなRPAを選ぶための判断軸をお伝えします。
1. はじめに:貴社の課題解決に必要なRPAはどちらですか?

RPA(Robotic Process Automation)の導入を検討する際、最初に直面するのが「どのタイプのRPAを選べばいいのか?」という問題です。RPAは大きく分けて、サーバーで集中管理されるWeb RPA(サーバー型)と、個人のPC上で動くデスクトップ RPA(クライアント型)の2種類があります。
どちらのタイプも「業務の自動化」という目的は同じですが、得意な処理や運用方法が全く異なります。最適なRPAを選ばなければ、費用対効果が低迷し、プロジェクトが頓挫する原因になりかねません。
本記事では、この2つのRPAの特性を徹底比較し、貴社の業務課題に最適なRPAタイプを見つけるための判断基準を解説します。
2. RPAの2大類型:Web RPAとデスクトップ RPAの特性比較
| 項目 | Web RPA (サーバー型) |
デスクトップ RPA (クライアント型)
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| 主な用途 | Webサイトのデータ収集(スクレイピング)、クラウドサービス(SaaS)間の連携、Webシステムへのデータ入力、サーバー上での無人実行。 |
PC上の操作自動化、Excel/Word/PDFなどのローカルファイル処理、デスクトップアプリケーション(弥生会計など)の操作。
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| 得意な処理 | Webブラウザを介した繰り返し作業、大量のWebデータ収集、Web API連携、24時間365日のバックグラウンド処理。 |
PC上のGUI操作(クリック、キーボード入力)、アプリケーション間の連携、複雑な条件分岐を持つ定型業務。
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| 苦手な処理 | ローカルPC上の専用アプリケーション(C/Sシステムなど)の操作、Excelの詳細なマクロ処理。 |
PC起動中にしか実行できない(PCの画面を占有)、大量Webデータの高速・長時間の収集(PC負荷が高い)。
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| 実行環境 | サーバー、クラウド |
個人のPC(クライアント)
|
3. Web RPA(サーバー型)が最適なケース
サーバー型RPAは、特にバックグラウンドでの大量処理や、IT部門による集中管理が必要な業務で真価を発揮します。
3-1. 24時間365日の無人処理が必要な場合
サーバー上で動作するため、PCの電源が切れても、担当者が退勤しても、自動化処理を継続できます。夜間のバッチ処理や、24時間監視が必要なデータ収集業務に適しています。
3-2. 大量のWebデータを高速処理する場合
Web RPAは、複数のWebブラウザセッションを同時に起動して大量のデータスクレイピングを高速で行うことが得意です。市場調査や競合価格の継続的なモニタリングなどに有効です。
3-3. 複数のSaaS間を連携させる場合
Salesforceや各種クラウド会計ソフトなど、Webベースのサービス(SaaS)間のデータ連携や、Web APIを通じた情報交換に長けています。
4. デスクトップ RPA(クライアント型)が最適なケース
クライアント型RPAは、個人のPC上で完結するローカルな作業や、現場主導の迅速な自動化に向いています。
4-1. ローカルアプリケーションの操作が必要な場合
弥生会計やオフラインで利用する専用の顧客管理システム(C/Sシステム)など、PCにインストールされたアプリケーションのGUI操作(クリック、キー入力)はデスクトップRPAの独壇場です。
4-2. Excel/Wordの詳細なファイル操作を伴う場合
PC内のファイルを開き、複雑なマクロを実行したり、複数ファイルを横断的に処理したりといった、ローカル環境のリソースを必要とする作業に適しています。
4-3. 現場担当者によるスモールスタートを目指す場合
デスクトップRPAは、比較的安価に導入でき、CoE(推進チーム)が不要な小規模な自動化から始めやすいため、現場部門が自発的に改善を進める「市民開発」の土台となります。
5. 失敗しないためのRPA選定のポイント
最終的にどちらのタイプを選ぶべきか、以下の3つの質問で判断してください。
- 「自動化したい業務は、PCの画面を占有せずに実行できますか?」
- YES(バックグラウンド実行可)→ Web RPAを検討
- NO(画面占有必須)→ デスクトップ RPAが必須
- 「自動化したい操作は、ローカルPCにインストールされた専用アプリケーションの操作ですか?」
- YES → デスクトップ RPAが必須
- NO → Web RPAも検討可能
- 「大量かつ長時間の無人実行が必要ですか?」
- YES → Web RPAによるサーバー集中管理が最適
多くの企業では、Web RPAとデスクトップ RPAの両方が必要となるケースがほとんどです。デジタルレイバー株式会社は、どちらのタイプのRPAも熟知しており、貴社の業務特性に合わせて最適なRPA選定と、タイプを跨いだ連携ソリューションをご提案します。